イントロも(速弾き)ギターソロも激長いバンドのDreamTheater/ドリームシアターとは…
「プログレメタル」( =プログレッシブロック+ヘヴィメタル)というカテゴリーを
90年代以降…世間に広めた5人編成のバンドです。

サウンドを端的に比喩するならば…時に遊園地のジェットコースター的展開だったり、
時に映画のサントラ的だったりするヘビーメタルって感じでしょうか。

先達メタルバンドのアイアンメイデン・メタリカ等々と比べると男臭さ・汗臭さ・泥臭さは希薄で、
品性とか、透明感とか、ファンタジーさとか、SFチックさとか、近未来的でもあり、
インテリっぽさを感じられる楽曲群だと思います(海外で、ゲームのBGMみたいと揶揄もされる)。

また先達プログレバンドのイエス・ラッシュと比べると、
より鋭利で、金属で、マッチョなギターサウンドだと思います。

で、Queen・ジャーニー・Asia等の流れを組むコテコテギッシリ胸焼け~膨満感必須な
臭メロ&肉厚サウンド240%超の糖度濃縮~高血糖な要素も入っています。
(苦手なロックリスナーも多いポイントだと思いますが…)
逆に、メタル苦手だけど…DTなら聴けるという層もいると思います。



Images and Words



歴史的見地からすると…2枚目の「Images&Words」(92年)で、注目を浴びましたが、
丁度(メタルの天敵)グランジ/オルタナティブロックの勃興と時期が重なります。

世間的には、奴らオルタナティブ =80年代音楽のカウンターカルチャーと見なされてますが…
DT =長尺・複雑な構成・インスト比率多め・時に芝居掛かって臭く演劇的で大袈裟で、
且つ高低差のあるワビサビと、更に違った角度でのカウンターカルチャーだと思っています。
そのままブレず30年後…グラミー賞「BESTメタルパフォーマンス部門」受賞( =The Alien)。

型ばったHR/HMの飽和状態で、流石に飽きて来て(※1991年辺り)、
かと言ってグランジロックには、どうも馴染めない…というタイミングで、
彗星の如くアルバム「Images&Words」が登場したので、自分の居場所を見付けた心境でした。

ロキノン/故クロスビート/MM誌の方針/愛読者の最も遠い位置にいるバンドかもしれません。
しかし近年…ロキノン誌面に、DTのインタビューや新作発売広告が、カラーで載ってるので、
「やれば出来るじゃん!」と、多摩市永山「くまざわ書店」で、立ち読みしていて思いました。
(創設者である)渋谷陽一の風見鶏的なDNAが、方向性に如実に表れているのしょうか。

昨今長いイントロってだけで、敬遠する(SNS中毒な)若い世代に対する挑戦状であったり…
ペトルーシのギターのサマーキャンプ(21年)の女性参加者 =僅か二人だった様に、
先輩プログレHRバンドRushから受け継ぐギーク( =ヲタク/陰キャ/水道橋博士的)ロックで、
陽キャ・(非もっさりな)女性に振り向かれなかったりの現状にも何のそので突き進みます。


【ドリームシアターのアルバム…発売された順番とは】

●When Dream and Day Unite(89年)
●Images & Words(92年)
●Awake(94年)
●A Change of Seasons(95年)
●Falling Into Infinity(97年)
●Metropolis Pt. 2 ‐Scenes From A Memory(99年)
●Six Degrees Of Inner Turbulence(02年)
●Train of Thought(03年)
●Octavarium(05年)
●Systematic Chaos(07年)
●Black Clouds & Silver Linings(09年)
●A Dramatic Turn of Events(11年)
●Dream Theater/Self titled album(13年)
●The Astonishing(16年)
●Distance Over Time(19年)
●A View from the Top of the World(21年)


外タレでは珍しく初の武道館公演(04年)は、初来日(92年)から苦節12年の道のりで、
グラミー賞( =メタル部門/22年)は、奇しくも「I&W」(92年)で注目を浴びてから、
丁度30年目の節目の年に受賞…という何だか演歌歌手的なキャリアです。

You Tubeのお陰で、アルバム未収録の素晴らしいナンバー
「Don't Look Past Me」を何度も聴けて嬉しいです。


DreamTheaterの名盤…「Images&Words」で確定



個人的に、初めてドリームシアターの存在を知ったのは、
(何故かメタル専門誌「BURRN」で気付かず)今は亡き雑誌「FM Fun」誌上でした。

各音楽評論家が、92年にリリースされたアルバムで、
オブ・ジ・イヤーランキング(多分、ベスト10形式)を決めるページにて、
マサイトーこと伊藤政則だけが、「Images&Words」を取り上げていました(確か1位?)。



Images and Words



“メタルとプログレの融合”という(自分の音楽趣味的に)興奮と時めきが交じる文言を見て、
速攻で、長野駅前の駅ビル「MIDORI」にある「新星堂」にて購入しました(92年12月)。

“メタルとプログレの融合”を例えるとアニメならば…ガンダムとマクロスの番組内での共演とか、
プロレスラーならば…Mマスカラスと初代タイガーのタッグチームとか、
お笑いならば…サンドウィッチマンの漫才と思いきや…コントをやり出す展開とか、
フルーツならば…まるでメロンとピーチが同じ容器に収まっているかの如くでしょうか。

しかしバンド自身が、未だ「イメージズ&ワーズ」を越える作品を出していない事実を
この時点では、まさか知る由も無かったです(22年現在)。


DreamTheater(2013年)…収録曲とは



ドリームシアターの12枚目のオリジナルアルバムとなる
DreamTheater=Self-titled Album(13年)の収録曲レビューです。
正直、おすすめのアルバムかと言えば…僅かに微妙な内容です。



Dream Theater



1)False Awakening Suite ※Amazon Music視聴可能



False Awakening Suiteは、演奏時間の僅か2分40秒ちょいの間にも拘わらず
副題の付いた3つのパートに分かれた言わば組曲となっているインストです。
(1:Sleep Paralysis 2:Night Terrors 3:Lucid Dream)
最初の頃は、何処からPart2そしてPart3が始まったのか気付きませんでした。

今回のアルバムの玄関口とか導入部分としての役割の曲だと思います。



The Enemy Inside



「メロディックスピードメタル」か「シンフォニックメタル」かと思う位、
コテコテの厚ぼったく大袈裟で、とても壮大なオーケストラなサウンドです。
クワイアっぽいのも聴こえてきます…ブラインドガーディアンかって感じです。
クリームの沢山詰まった凄く甘いロールケーキ状態の様な凄く重層的な音です。

ポートノイ脱退後に、縛りから解き放たれた?ジョーダンルーデス殿が、
凄く意欲的に取り組みたさそうな方向性かもしれません。

強いて言えば…ジューダスプリーストのThe Hellion~Electric Eye(82年)とか、
アングラのUnfinished Allegro~Carry On(93年)みたいに、
間髪入れず次の「The Enemy Inside」と連結していれば、カッチョいいと思ったのに、
時間の空白があるので、何と無く残念です。


2)The Enemy Inside ※Amazon Music視聴可能



ハードでエネルギッシュな楽曲「The Enemy Inside」は、
イントロ・間奏が、最近のメタルのサブジャンル「Djent」っぽい感じです。
各楽器隊のテクニックとスピードが、組んず解れつ入り組んでいる感覚です。
暴れ馬的な楽曲なので、今回のアルバムの収録曲の中では、一際浮いています。

呆気に取られそうな位に、複雑で挑発的なイントロが、一旦終わった後…
再び「ガガガガ ガガガガ」とイントロが始まり、押しの強さを感じます。

サビに来るまで、ラブリエのボーカルのキーが低め =途中まで、聴いていてもスカッとしませんw
サビに来て、ようやくラブリエの真骨頂な伸びのある声がやって来ますが…束の間です。
歌メロも凄い好きかと言ったら…まぁまぁ及第点位です。

間奏部分は、イントロ同様…複雑且つスリリングな展開で、キーボードも能天気且つコミカルで、
(折角歌っている)ラブリエのボーカルパートを喰ってしまう程、劇的な作りに物凄く興奮しますが、
ギターソロは、前作収録の「On The Backs of Angels」(11年)に類似していて、
少々残念に思いました。

しかし(何だかんだ言っても)個人的には…繰り返し繰り返し沢山聴きました。



The Enemy Inside



近年のドリームシアターの発表した楽曲の中では、
HR/HMに免疫が無く聴かない“ゆとりな”中高生に聴かせてみたいナンバーです。
又は、速い曲 =ロック(※ダルい曲 =ロックじゃない)という図式の若者にも聴かせてみたいです。

もし「The Enemy Inside」を気に入ったのならば、
KXMの「Scatterbrain」(17年)を視聴しては、如何でしょうか。



Scatterbrain



3)The Looking Glass ※Amazon Music視聴可能



凄まじい勢い有る曲「The Enemy Inside」から一転、
Rushの「ライムライト」(81年)を“モロ”なレベルで彷彿の力強いギターリフで有りながら
のほほん穏やかキャッチーなイントロから始まる「The Looking Glass」です。

そして原曲w「ライムライト」同様、万人を対象としたポップな歌メロとか楽曲だと思いますし
演奏時間 =既存のロックバンド達の演る位のサイズ…まさにシングル向けです。



The Looking Glass



途中、スローでメロディアスになるパターンなんかは、
やはりRushの色々な楽曲で、散見される得意な?展開です。

是又テリーブラウン( =プロデューサー)時代のRushの作品を意識してか…
ギターソロ時もバッキングのリズムギターを被せないで、マイアングのベース音が聴こえる作りです。

明るく始まったと思いきや…後半の物悲しい雰囲気のサウンドに変化するパターンも
やはり「ライムライト」を思わせます。

そんで以って唐突な終わり方は、Rushの「Entre Nous」(80年)みたいです。
実に今回のアルバムは、いつも以上に、随所に“Rush”を散りばめています。
しかし「The Looking Glass」の方が、やはり本家Rushよりメタル寄りな作りです。



Limelight



余談ですが…YouTubeでも視聴可能なPVには、水晶を持った美しい女性が登場します。
目鼻立ちの(口元も含め)凄く綺麗な美人さんだと確認できます。


4)Enigma Machine ※Amazon Music視聴可能



「Enigma Machine」は、今回のアルバム =やはりRushを意識した作風なのか、
一曲インストゥルメンタルを入れようという考えだと推測しますが…
Rush名作「Moving Pictures」(81年)収録の人気インスト「YYZ」を分解して、
モダンで重厚な作風に、再度パーツを組み直した様なインストです。



Enigma Machine



マイクマンジーニ参加後…初のインストで、
ユニゾン部分は、相変わらず超絶で、とても感心しますが、
今までのDreamTheaterが放ったインストナンバーの中で、
残念ながら一番詰まらなくw感じました。

今作でのマンジーニの叩くドラム音は、何だか(どの曲も)パタパタしていますw



YYZ



5)The Bigger Picture ※Amazon Music視聴可能



シンフォニックな要素、哀愁・繊細さと開放感が混在するバラード「The Bigger Picture」は、
前作「A Dramatic Turn of Events」(11年)を彷彿とさせる様な
ストリングス全開なクドく臭いメロドラマな雰囲気があります。
そして映画のサントラ風な感じもします。

美しく瑞々しいジョーダンルーデスのピアノに、心を打たれました。
同アルバム収録曲の中では、リピート回数が多かったです。



The Bigger Picture



しかし曲構成に、一筋縄ではいかないDreamTheaterなので、
他バンドと違って、単なる典型的なパワーバラードのまま終了しない劇的ナンバーです。

途中のRushのRed Barchetta/邦題:赤いバーチェッタの間奏っぽいパートを境に、
前半の晩秋の夜の静寂・曇天そして雨模様、時に台風接近な雰囲気のサウンドから
後半の夏の明け方~日中・澄み渡る晴天青空なサウンドへと、
ワーッと拡がりを魅せる展開に魅了されました(ラブリエのボーカルのお陰でもあります)。


これでもか、これでもかと、ダメ押しでドラマティックな曲なので、
クイーンのバラードナンバーが好きな人間は、視聴してみては如何でしょうか。


6)Behind The Veil ※Amazon Music視聴可能



又「The Bigger Picture」に続いて、ルーデス氏の凄いやりたそうな
フェードインして来たロマンティックなストリングスサウンドのイントロで始まり、
同路線と思いきやメタリカっぽいリフが切り込んで来てビックリの「Behind The Veil」は、
ラブリエの歌い方もヘットフィールドっぽい感じでスタートします。

しかしサビでは、甘くメロディックで、伸びやかに歌います。
けれど然程気に入りませんでした。



Behind the Veil



全体的に、DreamTheaterの曲として考慮すると、曲の長さとか…盛り上がりとか…
何か中途半端な印象を受けてしまいます。
個人的には、「The Bigger Picture」程好きになれない楽曲です。


7)Surrender To Reason ※Amazon Music視聴可能



初っ端のジョーダンの奏でる壮大なストリングスが、気持ちいい「Surrender To Reason」は、
続くラッシュの「Anagram(For Mongo)」(89年)と、
「Limelight」(81年)をハイブリッドした様なイントロから急転し
アコースティックギターのバッキングで、歌が始まる展開は面白いと思いました。



Surrender to Reason



再三言っていますが、今作 =ラッシュの影響が色濃く出ているので、
ゲディリー宜しくマイアングのブリブリブッブッしたベースの音が、凄く良く聴こえますw
(ギターソロ含め)間奏もラッシュの「By-tor & the show Dog」(75年)の間奏っぽいです。

しかし哀愁があって、叙情的ではあると思いますが…
クサいベッタリしたサビ部分は、詰まらなく感じました。
何か期待出来そうな風のイントロ~序盤に比べると、どうも霞んで負けている感じがしました。

そして前の曲「Behind The Veil」同様に、
演奏時間も曲構成も中途半端な印象が拭えません。


8)Along For The Ride ※Amazon Music視聴可能



Rushの「Closer to the Heart」(77年)っぽいアコースティックギターのイントロで始まる
「Along For The Ride」は、癒しっぽい優しい曲です( =Illumination Theoryの嵐の前の静けさ)。

前作アルバム( =A Dramatic Turn of Events/11年)で言う所の
「This is the life」とか「Beneath the Surface」のポジションかもしれません。



Along for the Ride



ラブリエが歌っているメロディーも平坦っぽい穏やかな感じですが、
歌っているバックで、ジョン・ペトルーシのエレクトリックギターの放つ
暴れている感じの山あり谷ありなフレーズが、(逆に対比として)印象に残りました。

間奏のジョーダンのムーグシンセみたいなキーボードソロは、
やはり前作収録「Beneath the Surface」とか、
同じくRushの「The Trees」(78年)を思い出します。





しかし個人的には、今作の(2番煎じな)「Along For The Ride」よりも
前作の「This is the life」や「Beneath the Surface」の方が好きです。


9)Illumination Theory ※Amazon Music視聴可能



今作のハイライト且つ目玉作品で、演奏時間22分ちょい「Illumination Theory」は、
個人的には…同じ長尺壮大エピック大作で、そして同じアルバム内ポジションの
演奏時間24分「Octavarium」よりも好きだったりします。

地デジ以前と以降の画質の違いみたいな
(敢えて懐古した意図的に古臭い)ビンテージサウンドな作風の「Octavarium」と比べ
まだプログレメタルっぽいメリハリを感じる「Illumination Theory」に、軍配を挙げています。


因みに、「Illumination Theory」は、5つのパートから成る組曲です。

(1)Paradoxe de la Lumière Noire
(2)Live, Die, Kill
(3)The Embracing Circle
(4)The Pursuit of Truth
(5)Surrender, Trust&Passion



Illumination Theory



チャイコフスキーっぽい旋律wの気持ちいい壮大な拡がりのあるストリングスで、
物語絵巻の幕が開きます。何かが始まりそうな予感がしまくりです。

 ↓↓↓
ウリジョンロートの「Electric Sun」(78年)みたいな始まりで、
ラブリエのボーカルが入って来るパートは、「Take The Time」「Just Let Me Breathe」的な
(プログレメタルらしくない?)ファンキーなノリの跳ねる感覚です。

全体的に、(再三再四言及していますが…)今作アルバム =所謂Rushっぽいので、
マイアングのベースが、煮立った鍋みたいなグツグツした音で、終始よく聴こえます。

 ↓↓↓
Yesを彷彿とさせるファンタスティックで、遊園地みたいなキーボードサウンドから、
ミドルパートで、クールダウンしてヒーリングミュージックみたいな世界に突入します。
自分だけ時間の流れが、何だか別世界にいるんでは…という錯覚に浸れます。
これぞプログレッシブロックって感じです。

 ↓↓↓
「Cygnus X-1 Book I: The Voyage」(ラッシュ/77年)っぽい
ダーク且つ不穏なベースラインで、目覚めの時を迎え
そしてラブリエのソウルフルかもしれない凄く奮闘しているボーカルが入って来ます。
ライブでも再現できるか心配な毛細血管の切れそうな歌唱です。

 ↓↓↓
切り込んで来るジャズっぽい速いパッセージのピアノが、見事です。
何でも有りの「幕の内弁当」状態な当楽曲に、更に幅広さを与えていると思います。
紛れも無くジョーダンルーデスは、「スラムダンク」で例えるなら山王工業でしょうか。

 ↓↓↓
雲を突き抜けて、ひたすら青空へ向かって上昇して行く様な
ペトルーシの爽やかなギターソロですが、最も一番好きな箇所かもしれません。
エモーショナルそしてポジティブで、凄く耳に残ります。

しかし折角、高ぶって来た気持ちと裏腹に、
「The Great Debate」とか「A Nightmare to Remember」の後半でも出て来る
ディープパープルの「Black Night」(70年)っぽいノリのパートで、少し萎えますw

 ↓↓↓
そして初めて聴いた時も予想していたのですが…
恐らく「Six Degrees of Inner Turbulence」「Octavarium」と同様に、
ラブリエが、見事歌い上げる半強制的な“感動して下さい”風な劇空間の
ドラマティックなクサい展開の大団円を迎えます。

 ↓↓↓
フィナーレかと思ったら…優しいピアノの調べが、フェードインしアウトロが流れます。
(2回目ですが)これぞプログレッシブロックって感じです。



Dream Theater



Distant Over Time(2019年)…収録曲とは



ドリームシアター14枚目のオリジナルアルバムとなる
Distant Over Time/ディスタンスオーバータイム(19年)の収録曲です。
既出の作品群の中では、割とサラッと聴ける作りになっていると思います。



ディスタンス・オーヴァー・タイム(リミテッド・エディション)(完全生産限定盤)(2CD)(特典なし)



ディスタンス・オーヴァー・タイム(通常盤)(特典なし)



Untethered Angel



新作からの第1弾となるUntethered Angel/アンテザードエンジェルが、
You Tubeで公開されたので、期待しながら視聴しました(18年12月)。

物悲しいアルペジオから始まる「アンテザードエンジェル」は、
続くリフ・歌い出しのサウンドで、即効でOut Cry/アウトクライを思い出しました。
「Out Cry」は、11枚目のアルバム「A Dramatic Turn Of Events」(11年)の収録曲で、
割と最近の( =過去の自分達の)作品からの引用に、何だか悲しくなりました。

間奏のスリリングなインストパートも
やはり(アラビアなフレーズ然り)「Out Cry」を想起させるので、
既視感ならぬ既聴感と言うか…然程、興奮しない自分がいました。



Untethered Angel



しかしジョーダンルーデスのオルガンは、火花が散るかの如く炸裂しています。
(今作「Distance over Time」は、他の楽曲群もオルガンが目立ちます。)

ギアが上がって、一生懸命に歌い上げるラブリエ殿のベッタベタな水飴の様なサビの部分も
発売前のアルバムからの先行配信第1弾でありながら…
アルバムの曲順でも1曲目という非常に重要なポジションにも拘わらず…
聴き手のハートをいとも簡単に掴み損ねる位の詰まらなさで、思わず落胆してしまいました。


しかしながら同じ「A Dramatic Turn Of Events」収録曲「Bridges in the Sky」同様に、
1番と2番で、それぞれ歌&メロディーを微妙に改変している点だけは気に入りました。


Paralyzed



2曲目「Paralyzed」は、個人的に…「Systematic Chaos」(07年)の「Forsaken」と、
「A Dramatic Turn Of Events」(11年)の「Build Me Up, Break Me Down」を
足して2で割った様な近未来的サウンドで、割とドリームシアターに合っていると思いました。

今までドリームシアターの発表した楽曲群の中では、
冷淡な感じと言うか、余り抑揚の無いサウンドの部類にも感じます。



Paralyzed



しかし楽曲の長さもシングル向けで、且つラジオサイズな(彼ららしくない)4分ちょっとならば、
ついでにサビも「I am paralyzed…I am paralyzed…」だけです。
サビに行く前の状態だと思っていた =実はサビだったって感じです。

そう言えば、Octavarium/オクタバリウム(05年)の収録曲「Panic Attack」でも
ジェームスラブリエが、「I am pa~raly~zed♪」と歌っていました。


Fall into the Light



ドリームシアターの新アルバム「Distance over Time」(19年)からの第1弾
「Untethered Angel」が、余り自分の期待に応えず
バットに当たったものの…ファールフライ的なレベルで、割と落胆していた中、
第2弾Fall into the Light/フォールイントゥザライトが、YouTubeで公開されました(1月)。

イントロからメタリカちっくで、出だしのラブリエ殿の歌もメタリカ風で、
9枚目のアルバム「Systematic Chaos」(07年)収録曲「Constant Motion」に近い作風です。
(キーボードがほとんど聴こえて来ないので、もっと装飾されていてもいいと思いました。)



Fall into the Light



間奏部分に突入~一転してスローで、暗闇とか静寂な雰囲気のギターパートも
メタリカのThe Unforgiven/ジ・アンフォーギブン(91年)を彷彿とさせ
今にでもジェームズヘットフィールドが、“漢”全開ボイスで歌い出しそうです。
しかしサビの部分は、ロマンティックに感じラブリエの真骨頂に思えます。

エンディングに向かう怒涛のギターサウンドが、
工場で鉄を切断するバーナーの如く(月並みな表現ですが)四方八方に火花を散らします。

しかし「アンテザードエンジェル」よりも聴いていて気持ち良く
(Looper for YouTube設定してあるので)何度もリピートしました。


Barstool Warrior



4曲目「Barstool Warrior」は、イントロ後半に登場するジョンペトルーシが奏でるギターの旋律は、
初夏の微風みたいに爽やかで、とても感動的です。

他のロックバンドなら折角美味しいフレーズでも一回こっきりで終わってしまうパターンが多い中…
気持ちいい旋律をこれでもかと繰り返し奏でてくれるので、余計に気持ちいいです。

(DTの場合、他の楽曲も然りですが)歌を食ってしまう位のギターで聴かせます。
もはやブライアンメイ、デイブギルモア、ニールショーン等の
泣きのギター分野に置いて、リヴィングなレジェンド達に比肩するのではと思います。



Barstool Warrior



途中、Losing Time/Grande Finale(06年)諸々過去のDTの楽曲を想起させる様な
素敵なピアノ&ギターソロの間奏を挟んで、前半と後半で全く違う曲構成です。

山あり谷ありの展開の中…異なった盛り上がる部分( =心に刺さる部分)が、
何箇所か存在する( =グサグサ刺さる)ので、聴いていて凄く楽しいです。
映画のサウンドトラックにも使用できそうなドラマティックな楽曲です。

最初と最後のパートが異なる凝った構成の劇的バラードとして、
Dream Theater/Self Titled Album(13年)収録の「The Bigger Picture」を思い出しました。


前半・後半の両方ともラブリエ氏の熱唱するサビ部分は、
ファンタスティックで透明感があって、凄く気に入りました。

クイーンが好きな層も気に入る可能性大だと思います。




しかしジョンペトルーシの白玉音符系ギターソロは、
瞬時に空間を支配してしまう位、情感的・抒情的・感動的・時に演歌チックで、
(月並みな表現だと…)聴く者の心を鷲掴みにしてしまい、それでいて思わず口ずさめる
風呂でも鼻歌でハミングも可能なギターソロ職人で、しかも大量生産工場です。

もしギターソロのストックが、沢山存在していて、
ラブリエの歌メロ用に当て嵌めて、出し惜しみせずドンドン使用すれば、
今後も名曲/名盤が生まれるのでは…と以前から思ってしまいます。


Room137



「Paralyzed」に続いて、又してもコンパクトな短い曲です。

グリッターサウンドのリズム +重くドッシリ感のあるサウンドです。
途中、サイケ時代のビートルズ風(彼らの場合 =キングスX風か)コーラスの展開で、
可愛いさに、サウンドとのギャップを感じます。



Room 137



(ブルージーと表現するのか解りませんが)らしくないコミカル且つユニークなギターソロで、
逆に脳内に引っかかって、ぶっちゃけ歌の部分よりも印象的です。


S2N



「S2N」( =Signal to Noise)は、
Toolっぽい?陰鬱な引っ掛かりのあるベースから始まって、
そしてRush的なイントロへと続ので、やはり(個人的には)のっけから興奮します。

そして映画のサントラっぽく立体感を感じさせる要素があるので、
ドリームシアターのアルバムには、毎回(何曲かには)是非盛り込んで欲しい
外人の(横文字で、何か喋っている)台詞のSE入りなのが嬉しいです。



S2N



ヘビィで且つ吐き捨てる様な歯切れの良いパートと、
爽やかなメロディアスのパートが、交互に入れ替わるラブリエのボーカルに…

どさくさ紛れに、突如割り込んで来るインストパートや
更にメタル寄りなアレックスライフソンって感じのギターソロも入って来て、非常にせわしく
当アルバムの中で、最もRushっぽさが如実に表れているスリリングな収録曲だと思います。
個人的に、「Pale Blue Dot」と並んで、大好きなナンバーであります。

曲のエンディングに、取り敢えず緊迫した本編が終わり、
肩の荷が降りて、何と無く気が楽になった様な少し気だるい雰囲気の
ギターソロを持ってくる展開は、何だか「The Dark Eternal Night」の焼き直しっぽいです。


At Wit's End~Out of Reach



今回のアルバムの中で、最長ナンバー9分越えの「At Wit's End」は、
イントロのキーボード&歌い出しのメロディーが、オリエンタルとか和風っぽいです。

前半、激しく「Scarred」とか「Breaking All Illusions」の一部を焼き直しをしながら
途中でムーディーにトーンダウンして、透明感溢れるピアノの調べを紡ぎ出しながら
後半、段々と盛り上がって、クサいパワーバラードみたいな展開となる劇的な曲です。

所謂“パワーバラード”部の間…(ニールショーンっぽい)ギターソロが、これでもかと泣き続け
フェードアウト~フェードインして来て、次曲( =Out of Reach)に繋がって行きます。
やはり当バンドの主役 =ギターソロ(ラブリエのボーカル)だと思わせる曲ですw



At Wit's End



短いバラード「Out of Reach」は、美しく瑞々しいピアノに乗せて歌う
ラブリエの色気あるボーカルが、遺憾無く発揮されていると思います。
何と言うかジョナサンケイン( =ジャーニーのKey)が作りそうな
透明感 +哀愁のある雰囲気を感じます。

(個人的には…)季節的に、秋から冬を想起させる楽曲です。
又、雲の隙間から僅かな一筋の光が差し込み海面を照らす情景を思い浮かべてしまいます。

Images and Words/イメージズ&ワーズ(92年)では、
短いバラード「Wait for Sleep」 ⇒長尺プログレナンバー「Learning to Live」で、
A Dramatic Turn Of Events/アドラマティックターンオブイベンツ(11年)では、
短いバラード「Far From Heaven」 ⇒長尺プログレナンバー「Breaking All Illusions」ですが…

当アルバムでは、長尺プログレナンバー「At Wit's End」 からの
短いバラード「Out of Reach」と、逆パターンの展開です。



Out of Reach



しかし今回「At Wit's End」「Out of Reach」と、
ラブリエが、2曲分作詞させて貰えて、取り合えずよかったです。


Pale Blue Dot



今回のアルバムの目玉商品/ハイライトナンバーであろう8分越え「Pale Blue Dot」は、
冒頭から宇宙っぽい雰囲気で始まるので、ワクワクします。
イントロも(Hemispheres/神々の戦いとか)やはりRush的です。



Pale Blue Dot



ミドルパートのプログレ且つテクニカルなインストバトルの展開や
短いサビの部分( =折角のラブリエ殿の見せ場配分が、残念ながら少な目…)も
「S2N」同様「The Dark Eternal Night」の焼き直しっぽいです。

しかしインストパートのあちこち入り組んだ細かく紡ぎ出されるフレーズに、
(毎回毎度ですが)よく作り込めるなぁと感心させられます。
加えてマイクマンジーニの複雑に叩くドラムの音が、和太鼓っぽく凄く気持ち良いです。

最後まで宇宙空間っぽい(ドリームシアターならではの)壮大な曲です。
正直、もっと長編大作でも良かったのに…と思ってしまいます。


Viper King



ボーナストラックのポジションに位置するだけあって「Viper King」は、
ドリムシらしくない俗っぽい(但しギターはヘビーな)80'sHR/HMで、
イントロ・間奏部分等…ジョーダンが、オルガンをふんだんに使用していて、
差し詰めディープパープル +ヴァンヘイレンの高速ナンバーって感じです(後、Mr. Bigとか)。

更にギアが上がって疾走するサビが、聴いていて気持ちEです。
又ギターリフ・ギターソロでのドラムが跳ねていて、グルーヴが伝わります。



Viper King (Bonus track)



もし実際のライブで披露したら残念ながら悲しい事に、
現在では出ないであろうラブリエのボーカルが、凄くキーが高いです。



ディスタンス・オーヴァー・タイム(リミテッド・エディション)(完全生産限定盤)(2CD)(特典なし)



岸博幸…ドリームシアターを聴く元官僚
(各アルバムの好きな曲とは)



元官僚の岸博幸は、ドリームシアターを愛聴している事実に驚きました。



Greatest Hit (...and 21 Other Pretty Cool Songs) [Explicit]



The Astonishing(2016年)収録曲…Our New World



2枚組コンセプトアルバム「The Astonishing」(16年)では、
自身のツイッター(16年1月22日付)によると…
「Our New World」が、(岸博幸的には)ベストトラックみたいです。



The Astonishing



80年代風なサウンドのアンセムソングって感じの楽曲です。


Dream Theater(2013年)収録曲…The Enemy Inside



またバンド名を冠したアルバム「Dream Theater」(13年)では、
自身のツイッター(13年8月5日付)によると…
「The Enemy Inside」が、(岸博幸的には)カッコいいと評しています。



Dream Theater



A Dramatic Turn of Events(2011年)収録曲…
Breaking All Illusions



更に遡って「A Dramatic Turn of Events」(11年)では、
自身のツイッター(11年9月6日付)によると…
やはり当アルバムの目玉商品である「Breaking All Illusions」が、名曲であると評しています。



A Dramatic Turn of Events



「Breaking All Illusions」は、これでもかと言う位…メロドラマの連続な楽曲で、
新しいドリームシアターのクラシックナンバーと言えるべき作品だと思います。